これまで3年に渡ってソフトウェアエンジニア向けのDiscordサーバーを運営してきたが、今日をもって解散することにした。理由としては活気がなくなり、これ以上続ける意義がなくなったからだ。これは私だけに限った話ではなく、多くの技術系サーバーが同じ運命を辿る。
なにが悪かったのか?と聞かれると自分の一番は運営方針が良くなかったのではないかと反省する次第だ。具体的にどういった課題に直面したのかを自戒を込めて記す。
直面した課題
無言の圧力
サーバー設立後の最初期は創設者がある程度意欲的に運営に取り組むし、参加者も人数が少ないので発言しやすい環境にある。みんなでワイワイできる一番楽しい時期かもしれない。しかし、人数が少ないが故にユーザーの獲得が難しい。このサーバーはDisboardに掲載していたので、誰でも歓迎のような文言を掲げることで心理的ハードルが下がるのか参加者は増えたが、意欲的でないユーザーを獲得することがほとんどだったので非常に加減が難しい。
不思議なもので、サーバーの紹介文が適当でも参加者は次第に増えていく。しかし、これまでの会話の流れがわからない新規ユーザーはとりあえず一言二言メッセージを投稿したあとは無難な振る舞いとして見(ケン)に回る。新しいROM専ユーザーの獲得だ。こうして徐々にサーバーは人数を増やしていく。人数が増えると活気があるサーバーに見えるのか、新規ユーザーは次から次へとやってきて、さらにROM専を獲得する。
こうなると雑談チャンネルはみんなが無言で牽制し合うデッドロック会場になってしまう。もしかしたら参加者はそこまで他人に興味がないのかもしれないが、ある程度軽快に会話が流れるようなサーバーでないと、いつまでも自分の発言が画面内に留まってしまい、精神衛生上よろしくない。
興味の分散
ソフトウェアエンジニアはそれ自体が職ではない。つまりソフトウェアエンジニアリングという概念に取り組んでいるわけではなく、帳簿ソフトのサーバーサイドを担当しているとか、WordPressのフロントエンドのデザインをしているとか、自社の基幹システムのメンテナンスをしているとか、具体的な活躍の場所は多岐に渡る。個人の興味も仕事と一致していることもあれば、違う分野に向いていることもあるし、仕事でしか接点がなく趣味は釣りですということもあるだろう。働く環境も異なる。メーカーで働いてることもあるし、客先常駐もある。フリーランスだってあるだろう。
これを見るとわかってはいたが、ソフトウェアエンジニアの興味の矛先は人それぞれで、個々人が抱えている課題が合致することはまずないと言ったほうが正しい。となると、ソフトウェアエンジニアという枠で人を募っても会話は噛み合わないし、コミュニケーションが得意か好きな人でもない限りは、サーバーに参加してもいいコミュニティ体験にはならない。
目的意識がなかった
これは私の最大の失敗で、目的意識がなかったのである。人を集めるだけでその先を考えていなかった。なんかいい感じになっていくと思い込んでいたのであえて設定しなかったが、これが仇となった。何を目指しているのかわからないサーバーでは参加者も何をしたらいいのかわからない。結果的にROM専を選ぶことしかできないのだ。それほどに目的意識は参加者に対して強い作用を及ぼす。
利益の最大化
ROM専になる理由はもうひとつあり、それは利益を最大化できることだ。どんなサーバーでも意欲的な人はわずかながら参加していて、そういった参加者が有益なことや面白いことを投稿してくれる。これは投稿をする人の良心に任せることになるが、双方向コミュニケーションがないとギブアンドテイクのバランスが崩れ、ギバーの一人負けになってしまう。いくら奉仕精神が強い人でも見返りが得られなければ限度というものはそう遠くないうちにやってくる。
ギブアンドテイクという言葉を出すと損得でしか物事を捉えていないのか、という批判もあるかもしれないが、そもそもコミュニケーション自体がギブアンドテイクで双方向的なものなので、コミュニティに参加する以上は主体性を持って欲しいと考えている。ROM専のベールの先の控室で一方的にこちらを伺うことができる状況は好ましくはないが、仕組みとしてはそれができる環境にあるし、ROM専をアクティブユーザーに引き上げることができていないという力不足はあるので、そう単純な話でもなく、自分の中でも答えが出しきれていない。
わかったこと
業者の排除は簡単
3年の間に業者と思われる人も何人か参加してきた。ベンチャー企業の採用担当やNFT関連のアカウントだと思われるが、私のサーバーではこういったものをすべて規制していたので、参加後何も言わず置物になっていた。もしかしたら参加者の数人に対してダイレクトメッセージを送っていたのかもしれないが、私は聞き及んでいない。
問題は起きない
いろいろとサーバールールはあるものの、これに抵触するような人はほとんど現れない。1人だけどうしても話が折り合わず出禁にした人はいるが、ほとんどの人は発言をしないので、問題も起き得ないのだ。逆に問題が起きないことが最大の問題とも言える。
やめることを決めるということ
いくら創設者やモデレータが頑張って話題を提供したとしても、やはり無言の圧力には勝てない。モデレータが頑張れば頑張るほど身内で会話していると思われてしまうし、逆になにもなければそのまま廃れていくだけだ。ある程度の目的意識があればそれに沿ってもっと面白いことも提案できたのかもしれないが、時すでに遅し私のサーバーは廃墟になってしまった。
参加者に対しては私の至らなさからこのような結果になって申し訳ないと思うし、これ以上参加者が廃墟に囚われていることは貴重な人生の時間の無駄遣いだ。ならば、最後の責任としてやめるということを決めるべきだ。私はフェードアウトという逃げはしない。解散するというメッセージに対してわずかばかりだが返信やリアクションをいただき、感謝の限りである。
それで次は?
悩んだもののまた新しいサーバーを創設することにした。解散したサーバーのルールは我ながらよく機能しており、さまざまなものからの安全が保証されていた。こういった良いところは残しつつも、今回は意識を持って参加するユーザーを増やすために、少し主張が強めと感じなくもない措置を講じている。