昨日また面白い怪文書がZennに投稿されたようで、一部で話題になっている。
一通り読んだ私の感想としてはかなり内容を盛ったフカシ記事だと感じたし、毎月の収益も300万円ではなく3万円程度なら信じたというのが正直なところだ。案の定、はてなブックマークでもポエムとして受け取られているようで、みんな思っていることは似通っている。
まあポエムですよね
記事の内容としては個人開発でClaudeに全ツッパした結果として高収入が得られているということで、これが本当ならビジネス的に成功しているので、他人がとやかくいうべきことではないが、逆にここまで簡単に作れることに対する反論もあって然るべきだ。そもそもこんなにウマい話があるわけがない。コイツもマーケティング羅生門に6万人いる世界最強の商材屋のひとりなのかもしれないが、惜しいのは商材へのリンクがないことだ。
物事には必ずいい側面と悪い側面があるので、それを抜きに生成AIコーディングの成功例(あるいはポエム)を示されても、一時的な娯楽以上のものにはならない。さて、悪い側面を分析するとはいえ時間が惜しいので、まず構造的弱点をGeminiに分析させてみた。おそらく元記事も生成AIで作ったものだろうから文句は出るまい。
私はほぼ元記事の信憑性を疑っているが、これを信じるとすれば、ニッチな需要を叶えたという目の付け所は素晴らしい。企業としてやるには小回りが効かないサービスを個人が拾い上げて、一家庭くらいをずっと食わせていくことができるのであれば願ってもないことだ。
しかし、Geminiの分析の通り、まずひとつめにビジネス基盤として弱いことが挙げられる。ビジネスモデルが崩壊するまでの間稼ぐだけ稼いで逃げるという一時的な金銭を目的にやっているのであれば問題ないし、Claudeやサーバー維持費の釣合いが取れている限り続ければいい。だがこのやり方は、15年ほど前に大流行した挙句、全然儲からなくなった「せどり」のように、方法が確立されてしまって、みんなが真似できる状況においては、それが基本になってしまうので競争力がない。むしろその時間まじめに働いたほうがよほど実入りがいいまである。
まじめに考えるとありえない
また、非常に怪しいのは「某有名な海外製巨大ERPパッケージ」を使っているのに、技術的、金銭的またセキュリティ的な観点を含めて「RESTful JSONに変換するプロキシサーバー」を構築できない、あるいはしない会社があるのか?という点だ。コスト重視でそういうこともあるだろうが、B2Bにも関わらずサポート窓口を閉じてサービスだけどうぞ、というあまりにも無慈悲な提供形態は強い割切りがなければ使えないし、個人開発のサービスにデータを流すということに対して危機意識が足りないと言わざるを得ない。
優位性や独創性があるのか?
ない。公式がRESTful JSONで返却するAPIを提供すれば崩壊するし、そうでなくても競合も同じことができてしまうし、そもそもこうしたサービスに独自性を感じられない。
具体的には、AI利用者の行為のうち、単なる労力にとどまらない「創作的寄与」となり得るものがどの程度積み重なっているか等を総合的に考慮して判断されることになります。
とある。確かにClaudeに対して指示をしているし、ある程度手直しもしているようだが、仕様は「500ページあるクソ英語仕様書」があったことからも、最初から明らかであったことが示唆されているし、文化庁の見解では、
「AIが自律的に生成した」とは、例えば、
AI利用者がプロンプト等の指示を何ら与えず(完全なランダムで)AIに生成させた
AI利用者がごく簡単な指示(「猫の画像を生成して」等)のみ与えてAIに生成させた
……等の場合が考えられます。
ということになっているが、「CC特有のAgentモードによる自律的な自己修正ループが回り切るのをターミナルのログを見ながらボーッと見つめるだけだ」ともあるので、ある程度自律的であることを認めてもいる。
仮に自律的であるということになると、著作物でもないという扱いになるので、自分で毎月300万円儲けているうちはいいものの、最終的に事業譲渡みたいな話になったときには以下の観点から多分外には出せないだろう。
- 著作権が示せないならば独占的な権利が主張できない。したがって資産価値が下がる。
- プロンプトエンジニアリングに価値を認めてもらえるかどうか。再現性がないと厳しいと考えられる。
- 再現性を担保するための「500ページあるクソ英語仕様書」は他社のものなので譲渡できない。
こうしたことからも自分の視点では唯一無二のサービスを作ったと思っていても、人から見ればガラクタ同然ということが起こり得るのかもしれない。それは個人サービスに限らず企業で作るものに関しても同様のことが言えるのではないだろうか。