「会社員ほどいいものはない」

今もどこかで牧師をやっている大伯父が会社員時代に言っていたことらしいのだが、つくづく私もそう感じることがあるし、最近とあるフリーランスエンジニアの投稿を読んで改めてそう思う機会があった。

タダより高いものはない

会社員は情報に触れるためのコストが低い。

朝出社すれば同僚と昨今のIT情勢や昨日生成AIで作ったものの話をするし、仕事中には課題解決のための提案や相談、意見交換をする。昼休みには技術的な話題に限らず、誰かと他愛無いことを話すし、ちょっと休憩がてら人のお悩み相談に乗ったりもする。しかもそのコストたるや、同じ会社で働くもの同士なのでかなり低い。

こうした交流によって自分ひとりでは知り得なかった興味深い話題を知る機会が得られる。他者からの意見で客観的に自己を省みる時間も増える。やがて人生や仕事のちょっとした判断のヒントになるかもしれない。

それに会社側もビジネス価値創出のために自らの社員が情報を仕入れることを推奨する。そのためなら金をかけてでも情報配信プラットフォームの契約をさせてくれるし、展示会、勉強会への参加も許可してくれる。限度はあるが、費用対効果が示せれば断られることはない。

フリーランスは茨の道

いっぽうでフリーランスや士業はどうか?こうした観点では厳しい状況にある。積極的に情報を拾いに行かないことには勝手に情報はやってこないし、その情報はふとした会話のように簡単に交換できるものではない。基本的に自腹の上、金が絡んだり相手が客であったりすれば、脚色されていることもあるだろうし、都合の悪いコンテキストは提供されないこともある。自己への評価もフィードバックする仕組みがなければ知る由もない1。よほど現場を経験しているか交流のある人でもない限り、あらゆる方面で情報を得るということが難しくなっている。

結果として「気づく」のが遅くなる。人生設計やキャリアパスにおいては会社員なら若手のうちに叩き込まれているようなことが、自分の身に降りかかる歳になってからうすうす感づく。技術面においては最近の生成AI事情のように1ヶ月の前の情報がもう古いような時代では致命傷になりかねない。アーリーアダプタな同僚が勝手に試して得られたナマの感触を教えてくれることはないのだ。

これはフリーランスを否定するものではなく、その人にとってそれが最適な働き方であればその意思は尊重されて然るべきだ。とはいえ、先日まで多く見かけた駆け出しエンジニアの成れの果てなのか、はたまた別の悩める子羊なのかはわからないが、最近どうにも気づき遅れる人が多いようにも見えるのだ。

追記

と、書いたところhann-solo氏から指摘があった。

のはずなんですけど、実際に会う会社員の方々は、世界が狭いことが多い気がします。不思議…

思い返してみればそれもそうで、考えるに同じ環境にいるのでエコーチェンバー現象に陥るのではないか?と仮説を立てた。一例として会社員であれば社会人基礎を学べるが、その会社における社会人基礎なので、別の会社ではそれが役に立たないかもしれない。

社風や転職者の多さや本人の意識にも影響されるとも考えられるので、得られる情報が多いからいいというわけでもなく、視野の狭さは依然課題として残る。

Footnotes

  1. 店を出していればGoogleレビューがつくかもしれない。