会社の福利厚生で毎日ごはんが届くのだが、これが案外食べきれず余っているようで、冷凍庫を見るとラップに包まれたごはんが山になっていた。どうやらタダで持って帰っていいようなので、そういえばと思って乾飯ほしいいを作ってみることにした。

おそらく多くの人と同じように、私は光村図書の「ちいちゃんのかげおくり」で乾飯というものを知ったのだが、子供ながらに乾燥させたごはんなんて多分おいしくないと思っていたし、祖母の家の仏壇に供えられてカピカピになったごはんの延長線上にあるものだと認識していた。

しかし、乾飯と言えば古来からの保存食イメージが強いが、実態としては登山や災害用に用いられるアルファ化米なのである。水で戻せばそのまま食べられるし、水がなくてもゆっくり口の中でふやかしながらであれば食べられるそう。創作とはいえど作中でもちいちゃんがそのまま食べてもいる(戦時中だから仕方ない)。

市販品で有名なのは尾西食品の防災用食料で、歴史を辿ると旧海軍の要請に基づいてアルファ化米を製造したことがはじまりで、それが今日にいたるらしい。厳密にはアルファ化米と乾飯は異なるし、工場と家庭では機材も規模も違うが、尾西食品のように水で戻して食べられる乾飯を作れるかどうか、夏休みの自由研究がてら試してみることにした。

電子レンジを使ってみる

日本の夏は高温多湿なので天日干しは絶対腐るかカビるかしかないと判断したので、まずは電子レンジによる乾飯作りに挑戦してみた。日本古来の保存食「乾飯(ほしいい)」をお米からつくってみようのほか、いくつかのサイトの情報を参考にした。

それによれば、ごはんを薄く耐熱容器に広げ、電子レンジで加熱と蒸気の排出を繰り返せばいいようだ。グラタン用の皿に軽く水洗いしたごはんを広げて電子レンジにかけることを繰り返す。サイトによって1~2分加熱としているところもあれば、いっきに5分加熱と書いているところもあり、比較もしてみたが刻んで加熱するほうがうまくいった。

しかし、電子レンジ方式は加熱と乾燥のバランスを取ることが難しくコゲてしまうし、耐熱容器にヘバりついたごはんをこそげ落とす手間もいる。アルファ化した米が乾燥すると綺麗なテカりが出るとのことだが、完全に焼けてしまっていて、求めているものではこれではない感が強い。

なにより食べてみればわかるのだが、これはおこげのライスペーパーである。

生ゴミ乾燥機を使ってみる

どうしても生ゴミには虫がわくので、我が家でも生ゴミ乾燥機を購入した。市町村次第ではあるが生ゴミ乾燥機には助成金が出るので興味がある人は居住している地域の役所のホームページなどを確認してみてほしい。

私が使っている生ゴミ乾燥機はLoofenというモデルで、公式サイトはクッソ怪しいのだが、製品としてはかなりまともで、使いやすくもあるので重宝している。生ゴミ乾燥機といえど、綺麗に洗えば優秀な乾物製造機としても利用でき、これまでに乾燥えのき、乾燥納豆、干肉、柿チップス等々作ってもいる。

なので今回もこれを使ってみることにした。写真は2時間ほど乾燥させた時点のもので、途中で1回ひっくり返している。すでにアルファ化米特有の結晶っぽいテカりが出ている。口に含んでみても硬すぎるほどではなく、噛みごたえのある乾いたごはんである。

乾燥してくると手で砕けないほどにごはんが固くなるので、まだ柔らかいうちに塊をくずしたほうがいいかもしれない。

水で戻してみる

乾飯ができたといって喜ぶのはまだ早い。およそアルファ化米であるからには水で戻して食べられなければ意味がない。さっそく作った乾飯に水道水を適量入れて20~30分ほど放置してみた。

十分に戻すには浸かるくらいの水が必要で、塊になっている部分についてはふやけきらず固さが残っていたが、食べられないほどではないし、見た目はいつも食べるごはんのそれに近くなっている。

塊が問題なのであれば、それを砕いてできた米粒だけをかき集めて戻してみればいいはず。加えて今度はお湯を使って戻してみた。すると当たり前だが、水のときよりも戻りが早いし柔らかくなった。それでも固さは残るので、ある程度煮込まないと元の柔らかさには戻らないかもしれない。乾飯道は果てしなく遠いことを感じさせられた。

尾西食品おそるべし

自分で乾飯を作ってみてひとつわかることは、尾西のアルファ化米はよくできているということだ。きっと水で戻りやすくするためのなんらかの工夫がなされているに違いない。

特におにぎりシリーズは感動する出来で、コンビニで売られているおにぎりに比べたら割高感は否めないが、災害時にこのおいしさのごはんが食べられるのであれば文句はない。ぜひお試しあれ。