世の中には捨てアドサービスなるものがあり、無期限で使い捨てのメールアドレスを取得したり、数分間だけ有効なメールアドレスを取得したりできる。カンのいい人ならすぐに気づくだろうが、これが便利でもありまた困ったサービスなのである。

なにに使うのか?

個人の場合

こうしたサービスを利用しなければならない理由は人それぞれだが、私の場合はおおむね次の場合に利用する:

  • 資料のダウンロードにメールアドレスが必要なとき
  • 信用できない・信頼できないサービスに登録するとき

最近のサービスは説明を極力省き「とにかく使ってみて!」の姿勢だ。なんでも登録が必要だし、その上ダークパターンによって退会しにくくなっている。ビジネス至上主義の悪いところが顕著で、非アクティブであってもとにかく登録ユーザー数を稼ぎたがる。

業務の場合

あまり褒められたものではないが、業務においては資料をダウンロードの用途が一番多い。資料をダウンロードした先の展開はもうわかったもので、あとから営業担当からメールなり電話なりで「弊社のサービスをご検討いただきありがとうございます。導入に際してなにかご不明点等ございますか?」とお伺いの連絡がやってくるのだ。

そもそも機能を知るだめだけにメールアドレスを要求すること自体がどうかとも思うのだが、将来の顧客を獲得するための営業戦略でもあるので仕方ない側面はある。業界というものは意外と狭いもので、あるサービスの競合他社でも中の人同士で何らかの繋がりが往々にしてあるので、捨てアドを使ってそもそもなにかを探っていることすら知らせないということはビジネス戦略としては有効な手段とも言える。

必要悪ではある

つまり、捨てアドサービスは必要悪で、私は業務で使われる側に立つとこれらサービスの存在を憎んではいるが、私的利用では便利であると考えていて、一概にいいとも言えないし、悪いとも言えない。状況や立場によって考え方が異なるのだ。

それに、これらサービスは利用者のモラルに任されている部分であり、あまり行き過ぎた使い方をすると捨てアドサービス側も不正利用に際しては当局に協力するし、開示も行うとしている。

ほかの方法:Gmail

Gmailにはエイリアスという機能があり、メールアドレスのアカウント名部分に + (プラス)に続けて好きな文字列を付加することで、メールボックスはひとつでも複数のメールアドレスに見せかけることができる。

通常のサービスではこうしたGmailのメールアドレスのエイリアスの考慮はないので、まったく別のアドレスとして利用できる。

企業側から見たとき

捨てアドに備えよう

捨てアドサービスやメールのエイリアスが作れるということは、ほぼ無限にメールアドレスが作れることを意味している。これはサービスの制度設計にもよるところにはなるが、例えばポイ活の一環としてポイントを無限に取得したり、抽選に応募したりということが可能となる。

メールアドレスをAPI的に作成できるサービスもあれば、reCAPTCHAのような「あなたは人間ですか?」テストが入ることもあるが、大体うまいことをしてすり抜けてくると考えた方がよい。つまり、システムやサービスとして捨てアドやエイリアスのメールアドレスで登録されることが不都合であるときには、これらを弾く必要が出てくる。

どう防ぐか?

個人サービスであれば、特定のフリーメールアドレスに限定してしまっても支障はないが、一般的な企業が提供するサービスであればそうはいかないので、ブラックリスト方式で捨てアドのドメインを登録するので適切だろう。ただし、やってみるとわかるのだが、これは正直なところイタチごっこである。国内の有名なサービスには:

があるが、これ以外にも海外のサービスは無尽蔵にあり、捨てアドの利用者がどのサービスを使ってくるかはわからない。

よく知らないドメインを使ってきたときにそれが捨てアドかどうかを確認する方法のひとつにVerify Mailを使う方法があり、ここにメールアドレスを入力するとスパムかどうか判定してくれる。同じメールサービスも列挙してくれるので、まとめてブラックリスト行きにできる。GitHubにも誰かが公開しているスパムアドレスリストがあるが、サービスの提供地域によってはほぼ使われないものになるので、ある程度はイタチごっこを楽しんだ方がいいかもしれないし、捨てアドデータベースもそれだけ洗練されたものになる。

捨てアドを使うほうも弾が尽きたからといって自らメールサーバーを立てるほどのことまではやってこないし、作業コストと得られるメリットのコストが見合わなくなったらそのうちやらなくなる。行き着く先はGmailやYahoo!メールの多重アカウント登録にはなるが、捨てアドほど簡単にアカウントを作れはしないので、抑止力としては十分ではあるように感じる。ユーザーの同一性を判定するために端末IDのようなものも設定するのも一つの手段である。

制度設計を見直すべき

そもそもの話、そんなことをされてしまうサービス側の制度設計に課題がある。おそらく会社の中では「そんなことする人なんていませんよ、ハハハ、やる方が悪い」みたいな議論が交わされているのだろうが、本気でポイ活を狙っている人たちは、錬金術ができる余地があるなら程度の差こそあれ必ずやってくる。これについては今も昔も性善説は成り立たない。

今となっては生成AIコーディングもできるので、犯罪行為をしていると悟られないようにプロンプトを工夫する必要はあるが、機能ごとに区切れば自動化することの難易度は素人でもかなり低いものとなっている。

やがてそのうち「怪しいポイントの利用があります」と報告があがり、調査した結果「〇〇万円分のポイントを詐取されました」と真顔で報告するのは目に見えていて、「あれほど言ったのに」と思いつつも改善策を提案しなければならなくなるのである。

個人から見たとき

ポイ活にご用心

最近は税金の増加や物価高で生活が苦しくなり、ポイント活動を略してポイ活が流行りを見せている。どこもかしこも囲い込みのためにポイントサービスを提供しているし、サービスによってはポイ活を推奨している。これらはアンケートの回答やレシートの撮影といったユーザー情報の対価として付与しているものとなる。

正直なところ、ポイ活をしている暇があれば、その時間分労働したほうがよほど収入が高くなるはずだが、労働はその時間拘束されるし、柔軟さに欠ける側面はある。そのほかにも理由はいろいろ考えられるが、ポイ活に執念を燃やしている人は少なからずいて、複数のメールアドレスを使ってまでポイントを獲得しようとすることがある。

しかし、企業側も馬鹿ではなく、ある程度のユーザー情報は追跡できるような仕組みを構築していて、やりすぎると電子計算機使用詐欺罪が適用されるし、多くの場合は逮捕まではいかなくともアカウントのBANや出禁になるかもしれない。

あくまでアンチビジネスのため

というわけで私は捨てアドサービスは説明責任を放棄した企業への対抗策と考えている。本当は「この機能でこのお値段!」と明朗会計にして欲しいのだが、企業側も慈善事業ではないし、営業的な戦略や足元を見た見積のためにこうした方法が一般化しているところも課題ではあるし、嫌われつつもやり続けるしかない止まれない戦いに身を投じている。

カリム (サイバーパンク2077)

持ってけ。シルヴァーハンドの言葉を広めてくれよ。コーポには死を!