単位行列
単位行列の積の確認
簡単な例として 2×2 の行列 A があったとすれば、
A=(acbd), E=(1001)
であり、
AE=(a⋅1+b⋅0c⋅1+d⋅0a⋅0+b⋅1c⋅0+d⋅1), EA=(1⋅a+0⋅c0⋅a+1⋅c1⋅b+0⋅d0⋅b+1⋅d)
となる。すべての行列について確認したわけではないが、感覚的に AE=EA=A であることがわかる。
転置行列
なぜ左上にtを書くのか?
累乗と見分けがつきやすくするためで、どこに t を置くかについてはさまざまな流派があるようだ。TeXでは ^t\!A と書くと綺麗にレンダリングできる。t は転置を表す transpose の頭文字を取ったものだ。Rustにも同名のメソッドがあるが、これは Option<Result<T, E>> と Result<Option<T>, E> を反転させる面白い働きをする。
行と列
横方向に並ぶ一筋を行(row)と呼び、縦方向に並んだ一筋を列(column)と呼ぶ。計算機科学でも同様で、データベースへの問合せでは、取得する列を指定して行単位で取得することになる。
HTMLではcolspanとrowspan属性が出てくるが、それぞれ横方向と縦方向のセル結合数を指定するため混乱しやすい。単一の行(列)と見ているか複数の行(列)と見ているかで少し意味の捉え方が異なってくるからだ。
ABの成分
次の行列要素の等式は少々理解が難しい。
k=1∑najkbki=k=1∑nakj′bik′=k=1∑nbik′akj′
行列 A と B の積は
AB=[ k=1∑naikbkj ]=∑a1kbk1∑a2kbk1⋮∑ankbk1∑a1kbk2∑a2kbk2⋮∑ankbk2⋯⋯⋱⋯∑a1kbkn∑a2kbkn⋮∑ankbkn
で定義されることから、t(AB) では i と j が入れ替わっているとわかる。つまり、t(AB)=[ ∑k=1najkbki ] である。次に ajk と bki に着目して置き換えれば、akj′ と bik′ となり ∑k=1nakj′bik′ に変形できる。
行列の各要素 aij を求めるための計算順序は入れ替えても問題ないので、∑k=1nbik′akj′ を得る。AB の式と照らし合わせると tAtB の (i,j) 成分であるので、t(AB)=tBtA となる。
確認
A=a11⋮an1⋯⋱⋯a1n⋮ann, b=b1⋮bn
n 次の正方行列 A と n 次元のベクトル b があるときに、t(Ab) と tbtA はそれぞれ次のようになる。
t(Ab)tbtA=ta11⋮an1⋯⋱⋯a1n⋮annb1⋮bn=ta11b1+⋯+a1nbn⋮an1b1+⋯+annbn=(a11b1+⋯+a1nbn⋯an1b1+⋯+annbn)=(b1⋯bn)a11⋮a1n⋯⋱⋯an1⋮ann=(a11b1+⋯+a1nbn⋯an1b1+⋯+annbn)
逆行列
例1.3
(AB)−1=B−1A−1 の両辺に左側から AB を掛けると (AB)(AB)−1=E=(AB)(B−1A−1) となる。この式と逆行列の定義から AB の逆行列が B−1A−1 と求まる。また、単純に AB の逆行列は (AB)−1 であることから、(AB)−1=B−1A−1 となる。
例1.4
A=(acbd) のとき、
====A2−(a+d)A+(ad−bc)E(acbd)(acbd)−(a+d)(acbd)+(ad−bc)(1001)(a2+bcac+cdab+bdbc+d2)−(a2+adac+cdab+bdad+d2)+(ad−bc00ad−bc)(bc−ad00bc−ad)+(ad−bc00ad−bc)O