式1.54

の両辺の形は、

となる。式変形して、

が成り立つ。もし に逆行列 があれば左からそれをかけることで を得るが、これは定義1.28に矛盾する。したがって の逆行列は存在しない。

定理1.29

は一次独立でないと仮定すると、 までは一次独立で、 を含むと一次従属になるような が存在する。このときある定数 を使って、

と書けるはず ( は一次従属なので、一次独立の和として表現できる)。左側から をかけて、

さらに、 なので、

となる。(2)式に(1)を代入して、

さらに、右辺を左辺に移動して、

仮定より は一次独立なので、

固有値がすべて異なるので、 から、 を得るが、これは固有ベクトルが でないことに矛盾する。

定理1.31

より、 なので、 である。

固有方程式は であるので(0でさえあればいいので、入れ替えても同じ)、

より、固有多項式が一致する。同様に、

である。

定理1.34 (前半)

と の複素内積は、 と書けることから、

である。 より、

これを内積の形に変形して、

である。先に転置しても後で転置しても値としては変わらないので、

最後に定理1.24より、

定理1.34 (後半)

複素内積の定義と より、

である。 なので、

なので、 つまり

直行行列の場合

のとき、 である。定義1.24の より 、定義1.33より 、定義1.26より なので、

複素内積のおさらい

である。なぜ複素共役を取るのかは1-1. ベクトルと行列を参照のこと。

定理1.35

とすると、定理1.34の より、

ここで、 はエルミート行列なので であることを利用すると、

となる。 なので、 は実数である。

定理1.36

正規行列であることの証明

まず が正規行列のとき も正規行列になることを確認する。随伴行列の性質から、 と は自明であるので、 とおくと、

である。正規行列であることを示すには であることを示せばいいので、それぞれを計算すると、

2式の展開結果から となるので、 も正規行列となる。

内積を考える

式1.54より なので、内積をとっても である。したがって、式1.65の と定義1.33の正規行列の性質 を利用すると、

ここで、内積 を考える。

であるので、

となる。これは であり、 なので、 である。

固有値について考える

互いに異なる固有値 に従属する固有ベクトルを とすると、 と そして今し方求めた より、

が成り立つが、 より、 となる。